Looking for Football

フットボールと、旅。

「ポルトの育成施設で史上最高のスクールを見た 〜僕がFCポルトを見に来るべきだと思う理由〜」FC Porto, Portogal

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ルトガルの首都、ポルトにある名門FCポルトの育成施設で、これまで見た中で最高のサッカースクールを見ました。言うまでもなく、そのおかげで僕はFCポルトのことが大好きになってしまいました。今まで各国でサッカースクールを見てきましたが、ここまで他のスクールとの違いを感じたのは初めてでした。正直、スクールに関しては「どこも一緒だろう」と思っていましたが、FCポルトのスクールを見ることで、僕の考えは覆りました。その素晴らしいチームを、僕の無能な文章で伝えると考えると少し億劫ではありますが、興味があれば是非読んでみてください。

 

|Vitalis Park

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と名付けられた育成施設は、ポルトの中心部に位置しています。ポルトに関してほぼ情報がなかったので、ここで育成が行われているのかは半信半疑。僕が訪れたのは午後2時頃。適当に行ってみたけど、誰もサッカーをしていない。併設する事務所の人に聞いてみると4時からユースのトレーニングが行われるということ。ガッツポーズ。

 

|ユースのトレーニング

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ユースのトレーニングは、遠くからしか見れないように規制が張られていました。写真も撮らないように言われたので、あまり撮れていません。

非常に緩い雰囲気でトレーニングが行われ、時間もかなり短かったので、おそらく翌日に試合があるんだと思います。選手は16人と少なく、コーチが3人、ホペイロが1人で見学者もほぼなしでした。

 

|スクール

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それでは、本題に入りたいと思います。

前述したようにスクールは「どこでも同じ」という印象があったので、正直あまり興味がなかったのですが、FCポルトのスクールを見てその考えは変わりました。もし将来自分がクラブ作りに関わるようなことがあれば、こんなチームを作りたいと思いました。

「日本でスクールコーチをしている人全員が、ここに来てポルトを見て欲しい」とさえ思った理由を書いていきます。

 

|工夫された施設

ユースのトレーニンングが終わった途端規制が解除され、ピッチの近くやクラブハウスに入ることができました。

フルピッチが一つ小さなピッチが一つと、これまで見てきた育成機関に比べ小さいことは小さいですが、それよりもこのピッチの素晴らしいところは「親御さんが来やすい・見やすい・応援しやすい」ように工夫されているところです。

 

①カフェテリア

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クラブハウスの上階には、カフェテリアのような場所が併設され、軽食やコーヒー、ビールを飲むことができます。Wi-Fiも完備。これならサッカーを見ることにあまり興味がない親御さんも気軽に来ることができますし、プレーをする選手の兄弟もここで待つことができます。この日は肌寒かったですが、この中でなら暖をとることも出来、非常に素晴らしいと感じました。

 

②あらゆる場所から見ることが出来る

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カフェテリアを出るとバルコニーがあり、上から2つのピッチを見下ろすことができます。主にスクールで使われていた小さなピッチも上から見下ろせるような構造になっており、自分の子供がどこにいるのか一目でわかります。フルピッチの方にはサイドラインに沿って座ることができる場所が設けられ、近くで子供たちを見ることができます。

つまり、親御さんに囲まれてサッカーをするような構造になっているのです。ヨーロッパのトレーニング施設は、ほとんどがスタンド等が設けられ、ギャラリーが来やすいように工夫されています。日本ではあまりないことですが、このように普段から見られることに慣れている選手たちは、日本人よりも大舞台で活躍しやすいのかもしれません。

 

③応援しやすい

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見やすいということは、応援しやすいというです。囲まれているような状況なので、子供達が得点をしたり、良いプレーをした時にとても声をかけやすい。さらに、小さなピッチは声が響くような構造になっているので、拍手や声援が子供達に届きやすい。

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ちなみに施設で特質すべきところは、土のグランドがあえて置かれているところです。他に使えるスペースがあるのにも関わらずここを利用していたので、おそらく意図的だと思います。整った人工芝のグランドとは違う環境でプレーをすることで、あらゆる効果を狙って造られたものなのかもしれません。

 

|コーチの量と質

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スクール生が多いとは言え、それでもかなり多くのコーチがいました。少なく見積もっても20人以上はいるでしょうか。これだけ多くのコーチがいれば、全ての選手に満遍なく目が行き届きます。

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人数だけでなく、全てのコーチが子供たちとしっかり向き合っているように感じました。できるだけ楽しく自由にサッカーをさせながらも、間違った行為にはしっかり目線を合わせて叱り、子供たちとしっかりコミュニケーションを取っていました。だからこそ、子供達はコーチの話をしっかりと聞きます。

これだけの人数のコーチが、しっかりと子供達とコミュニケーションを取ることができれば、素晴らしいチームになることは間違いありません。

 

|皆で応援をする親御さん

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「来やすい・見やすい・応援しやすい」ように工夫された施設では、親御さん達は思う存分応援をします。良いプレーや頑張りを見せた選手達に拍手を送り、得点が入るとみんなで声援を送ります。親御さん同士で協力をして、子供達がサッカーを楽しめるように考えて行動をしているのだと感じました。この一体感が、スクールを素晴らしいものにしている一つの要因であることは間違いありません。

 

|素晴らしい選手達

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そんな素晴らしい環境でサッカーをする子供たちは、本当に素晴らしい選手たちでした。コーチ達の指導を受け、そして親御さんの応援に乗せられながら、心の底からサッカーを楽しみ、真剣にプレーをし、本気で喜び本気で悔しがる。サッカーをする彼らの顔を見ていると、こっちまで幸せな気分になりました。

小さな子供達は主にゲームのみでしたが、上の学年になるとゲームだけではなく、様々なメニューが組まれていました。小学6年生くらいの選手達は、みんな本当に技術がある。それ以下の学年でも紅白戦は真剣勝負で、小さな子供達がしっかりとパスを回す姿に驚かされました。

 

|全員が協力をして子供を育てる

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コーチ同士で頻繁にコミュニケーションをとり、親御さんはみんなで協力をして応援する。ヨーロッパ特有の自由な雰囲気の中にも、しっかりとした教育がされている。

小さな子供達がサッカーを「楽しい」と思うことは、一番大切なことだと思います。しかしそれに加え、しっかりと教育をしていかなければなりません。ただ自由にサッカーをすることでその瞬間は楽しむことができますが、それ以上の本当の「楽しさ」を味わうことは出来ません。その両方を味わっているFCポルトの子供達は、本当に幸せだなと感じました。

 

施設全体が「子供達を育てる」という目的のために存在している。その素晴らしい雰囲気が、僕がこれほどまでにFCポルトのスクールに惚れ込んだ理由です。

僕の中では、このスクールを超えるスクールは過去になかったですし、これからもないのかもしれないと思っています。

日本にも、このような素晴らしいスクールがたくさんできることを願っています。

 

|試合観戦

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翌日、彼らの試合を見ることが出来ました。小学生低学年くらいの試合でしょうか。こんなに素晴らしいチームが、しょうもない試合をするはずがありません。練習と同じように大人達は目一杯応援をし、子供達は最高の表情でプレーをする。相手チームもまた本当にいいチームで、FCポルトは負けてしまいました。それでも自分たちよりも大きな相手に勇敢に向かっていく姿、負けても堂々とチームみんなで円陣を組む姿、何よりFCポルト全体から出るファミリーのような雰囲気は、これまでのチームにはなかった魅力でした。みんな体は小さいですが、バルセロナの同世代よりも、はるかに技術のある選手達でした。

 

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魅力を伝えられたのかどうかは疑問ですが、少しでも何かを汲み取っていただければ幸いです。

 

本当にFCポルトは、素晴らしいチームです。

このチームに出会えたことで、僕のサッカー人生は変わりそうです。

 

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「エスパニョールの衝撃」RCD Espanyol, Spain

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つて中村俊輔選手が所属していたことで知られるエスパニョール。同じ街にあるFCバルセロナに比べると、トップチームの成績は優れたものではありません。しかし、育成になると話は変わります。

今季、バルセロナ18歳以下(フベニールA)で行われるリーグ戦において優勝を飾ったのは、育成の代名詞FCバルセロナではなく、このエスパニョールでした。他を寄せ付けない圧倒的な強さで頂点に立ったと言います。

私はそのチームを実際に見て、これまでにない衝撃を受けました。

 

|能力の高い選手・コーチ

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何が衝撃だったのか。それは、選手達の能力の高さです。これまで様々な育成チームを見てきましたが、それとは比べものにならないほどの能力の高さでした。

行っていたトレーニングも、言葉がわからない僕にも意図が見えるほど質の高いものでした。フィジカルしかり、基礎技術しかり、トレーニングに対する集中度しかり、どれを取っても質の高い選手達。見ていて惚れ惚れするトレーニングでした。とにかく、止めて蹴る技術が全員高い。ビルドアップのトレーニングを素早いパススピードでミスなく、当たり前のようにこなします。

最後まで18歳以下(フベニールA)だとは信じがたかったのですが、確かにそうみたいでした。顔つきや体格はもうすでに大人。今すぐにでもプロで活躍できるようなレベルの選手が多くいました。

指導者も、言葉がわからないので多言は避けなければなりませんが、トレーニングを止めるタイミングや、表現力、そして選手達の話を聞く表情を見れば、良いコーチであるということがわかります。バルセロナという地で頂点を獲るようなチームの指導者が、悪い指導者のはずがありせんが…

 

チェルシーFCユースとの比較

先日、UEFAユースリーグ、FAカップで優勝を飾ったチェルシーFCユース。同大会を2連覇している彼らは、過去最強と言われています。僕は彼らの試合も観戦したのですが、ここまでの衝撃は受けませんでした。

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確かに日本の高校生とは比べものにならない完成度ではありましたが、それは主に雰囲気やフィジカルな部分です。技術的に衝撃を受けるようなことはありませんでした。試合と練習との違いもあるかと思いますが、どちらにせよ高校生とは思えない実力です…

この2チームが対戦をしたら、どのような試合展開になるのか非常に興味深いです。

 

|スクール

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スクールも見ることができました。一つのグランドで非常に多くの子供達がサッカーをしており、このチームの人気度が伺えます。

練習内容はというと「ただサッカーを楽しむ」といった雰囲気ではなく、むしろ僕がメインで見ていたチームは楽しもうという気は一切0(笑)女性のスパルタコーチが、真剣に指導をしていました。比較的どのカテゴリーも、シュート練習を多くしていたことも、特筆すべきことかもしれません。

ここのグランドでには2つのフルピッチに、2つの小さなピッチがありましたが、プロの選手達もここで練習をしているので、身近にプロを感じることができる良い環境だと思いました。

 

|エスパニョールを観て

日本とのレベルの違いを見せつけられました。これまでは、選手に関してはあまり違いはない(劣ってはいるけれど)くらいに思っていましたが、エスパニョールを観てそれが間違いだということに気がつきました。はっきり言って、日本人とは全然違います。

より多くの日本人が実際にトップレベルのサッカーを観て「危機感を覚える」ということは、非常に大切なことだと思います。それがなければ、日本が世界に追いつくことは絶対にない。誰かの情報やインターネットの情報では、日本がどれだけ世界に離されているのかは、一生わかりません。

 

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「でかい!でかいぞ!?」Camp Nou, Barcelona

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れまでプレミアリーグのスタジアムが強く印象に残っていたので、その規模の大きさに驚きました!

アンフィールドの約2倍ほどの観客総員数を誇る、FCバルセロナのホームスタジアム・カンプノウプレミアリーグ特有の選手との距離の近さとはまたちがう迫力がありました。

この日は午前中のカンテラ見学に続き、バルサ三昧!

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|迫力のスタジアム

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大きなスタジアムの迫力はとんでもない!

高所恐怖症の人は、少し怖いんじゃないかくらいの高低差…

 

|迫力のブーイング

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10万人近い観客が一斉にブーイングをします。それはもうすごいことになります。プレミアリーグよりもブーイングの頻度は多目。納得がいかないことがあるとすぐにブーイング開始。指笛とともに。審判の判定にブーイング、相手のプレーにブーイング、そして前半を負け越して折り返したバルサにブーイング。ブーイングの嵐でした。

この中でプレーをする選手たちは、さぞ興奮していることでしょう…

 

|敗戦

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やはりサッカーの緻密さと技術の高さは他のチームを寄せ付けないものでした。ただ、だからと言って勝てないのがサッカーの面白いところ。多くのチャンスを作り出したバルセロナですが、なかなか得点をすることができず、バレンシアに少ないチャンスをものにされ敗戦。途中あきらめたファンが首を横に振りながら帰っていく姿が印象的でした。エンリケもこの表情(見えない)。

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バルセロナ最高!

結局はそういうことです。ここに来て、そう思わない人はいないのではないでしょうか。いくら負けようが美しいサッカーを見せてくれました。勝つことが当たり前になっているバルセロナにとって、この連敗は信じられないことでしたが、このまま崩れていくようなチームには見えませんでした。これからもFCバルセロナがサッカーのレベルを上げてくれることを期待します!

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「バルセロナ・カンテラ 〜バルセロナの育成とバスクの育成〜」Barcelona, Spain

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成の代名詞、バルセロナの育成組織であるカンテラに行ってきました。同じスペインでも、バスク地方の育成の印象とはかなりの違いがあったので、比較をしていこうと思います。育成を学ぶ上で、ここを訪れないことには始まりません。

 

|充実の施設

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カンテラの施設はもちろん素晴らしいものでした。ピッチがいくつもあり、誰でも試合を観れるように解放されていて、スタンドもあります。バルセロナというチームがいかに育成に力を入れているのかが、一目でわかるような施設でした。

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グランドと同じ敷地内に、マシアと呼ばれる選手寮があり、彼らはここで共同生活を送っています。建物もかなり綺麗でお洒落。

 

|覇気がない選手たち

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ただ、試合の内容はというと、全くもってバルセロナというチームを感じさせないもので、結論から言うとかなり期待を裏切られることになります…
バルセロナの育成組織を観るのは初めてなので、どのような基準なのかがわかりませんが、少なくともこれまで海外で観た育成組織の試合の中で、最も面白くなかったです。その理由としては、とにかく試合が冷めている。バルセロナの18歳以下(フベニールA)は、今季リーグ戦4位にとどまっている状況で、そのリーグの最終戦でした。優勝の可能性がないことを考慮しても、なんとも雰囲気のない試合でした。確かに技術のある選手が何人かいることはいるのですが、いかんせん熱さがなく、僕が持っていた「欧米のサッカー」のイメージを覆されました。逆にこういう熱くない試合も出来るのかと…笑

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あの有名な韓国人選手もいましたが、この日はごくごく普通の選手でした。

正確な年代はわかりませんが、ジュニアユース年代の試合も同様あまり魅力のある試合ではなかったです。

バスク地方で見た育成の試合は、全て熱くて魅力的だったので、それとは逆の感想を持ちました。

 

|何も言わない指導者

おそらく意識をして黙っているのだと思いますし、狙いがあるのは間違いないと思うのですが、指導者がどう指示をするのかを見たい僕にとっては、学ぶことが少なかったです…
良い悪いは置いておいて、バスク地方の育成の指導者達の試合中とは全くの逆。バスク地方の指導者達は、かなり情熱的に指示を送り続けていました。

 

|観客

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ギャラリーは、もちろんたくさんいました。ただここでもバスク地方との違いを感じることになります。
18歳以下のリーグ戦は、韓国人プレーヤーを観に来ている韓国人や、その他外国人が多いせいかも知れませんが、静かに試合を観戦している人が多かったです。イングランドや、バスク地方のギャラリーとは異なり、欧米人特有の雰囲気はなかったです。
ジュニアユースの方はおそらく親御さん中心だったと思いますが、それも同様、バスク地方の親御さんとは逆で、比較的静かに観戦をしていました。この違いは、どこから来るのでしょうか…

同じスペインでも、このようにバスク地方バルセロナには様々な違いがありました。

 

|それでもやっぱり

期待を裏切られる気分でグランドを後にした僕は、その日の夜にカンプノウに行き「バルセロナ最高!」と叫ぶことになります(笑)カンプノウの雰囲気は、他の国とはまた違う良さがあったので、それについては次回書いていきます!

そしてさらに、この後日訪れたエスパニョール18歳以下のトレーニングで、僕は「スペインやばい…」と驚愕することになります(笑)
ちなみにエスパニョール18歳以下は、断トツでリーグ優勝を決めています。これまで観た育成チームの中で一番衝撃だったので、それについても次回以降書いていきますので、お楽しみに!

 

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「 Estadio San Mamés 」 Home Stadium of Athletic Club Bilbao.

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れ込んでしまうほどの美しさだ。ビルバオの街にあるこのスタジアムは、試合の日になると赤く輝くことになる。

1913年から2013年まで100年間使われた旧サン・マメスに変わり、新サン・マメスがこの街の象徴だ。旧スタジアムに使用されていたルーフの一部は、アスレティック・ビルバオのトレーニング施設に移されている。

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試合がないにも関わらず、十分すぎる存在感を放っている。いつかまた、試合がある日にこのスタジアムを訪れたい。その時はまたバスク人の熱さに感動することだろう。

 

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この街は、Footballで出来ている。

 

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「この街はアスレティック・ビルバオというチームを」Athletic Club Bilbao Youth, Ladys

熱的なバスク地方の人々は、アスレティック・ビルバオというチームを愛している。 

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|ユース

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この日はユースの試合が行われていた。リーグの一戦で、相手チームは負ければ降格という状況らしい。試合開始の1時間半前に到着した僕は、アスレティック・ビルバオの施設で日本人が一人日向ぼっこをしているという摩訶不思議な状況を体験した。最高に気持ち良かった。

スペイン人のアップは短い。だいたい早くて40分前くらいに顔を出す。アップは実質30分くらいだろうか。お互い緊張感のあるウォーミングアップをしていた。

試合はアスレティック・ビルバオの勝利。個人的には相手チームの左サイドバックがMVPだ。とにかく吠え続け、仲間を鼓舞し続けた彼は、試合開始と同時にふてくされたけど、それくらい勝ちたかったのだろう。

アスレティック・ビルバオのユースは、レベルこそ高くはないが、闘志溢れるプレーをする。バルセロナの地域のチームよりも、バスク地方の方がパワフルなサッカーをする。

 

|レディース

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ユースの試合の途中、トイレに行こうと下へ下ると、何やら騒がしい雰囲気が漂っていた。これは何かあるぞとサッカー馬鹿の血が騒ぐ。グランド内から、施設の外に出る通路で、チケットの確認をしている。まさかこれは有料か…一度出てしまえばチケットを持たない僕は戻ってくることはできない。僕はトイレを我慢した。

レディースのリーグ戦が行われるようだった。はるか前からグランドインをしていた僕は、チケットを持たずに観戦することができた(ごめんなさい)。

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試合はアスレティック・ビルバオの圧勝勝ち。かなりの差があった。相手は負けているのに全員ハーフコートに潜り込む。何がしたかったのだろうか。彼女たちのサポーターがいなくて本当に良かった(多分)。

レディースもかなりの人気があった。多くのギャラリーは女性が中心。未来の女子サッカー選手で溢れていた。レディースだからと言って、ギャラリーは容赦しない。バスク人特有の熱い応援で試合を盛り上げる。大量得点にも関わらず、得点が入るとみんなすごく嬉しそうだ。

 

この街の人々は、フットボールと、アスレティック・ビルバオを愛していた。

これほどまでにフットボールに情熱を持った街が、他にあるだろうか。

 

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…たまにはこういうやつがいてもいい。

 

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「スペイン・バスクの育成を観て学んだこと、日本サッカーとの比較(後編)」Bilbao, Spain

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回に引き続き、今回は後編としてバスクの育成について書いていこうと思います。そして、バスクでお世話になった日本人指導者であり、乾選手の通訳をしておられる岡崎さんについて少しだけ書かせていただきますので、ぜひ最後までお読みください。

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|7.指導者養成

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日本との大きな違いの一つに、指導者養成があります。自給自足で選手を育てているバスクにとって、指導者養成は育成の大きなウエイトを占めます。良い指導者を育てなければ選手の育成は不可能です。

日本とは違い、若い指導者を育てるシステムがあり、むしろ選手の時から指導者講習会に参加することもあるそうです。アスレティック・ビルバオは、バスクのレベルを上げるためにローカルクラブの指導者養成に力を入れており、毎週金曜日に講習会が行われるそうです。計画的な指導者養成が、バスク地方の「育成の成果」を裏付けています。

 

|8.小さな子供でも団子サッカーにならない

日本では、小さな子供に戦術を教えることはあまりしないように思います。難しいからと避けているかもしれませんが、小さな子供の時から戦術でサッカーをすることの楽しさ、大切さを教えているからこそ、全員がボールに集まるようなお団子サッカーにはなっていませんでした。グランドを大きく使ってサッカーをするのは、スペインでは大人も子供も関係ないのかもしれません。

 

|9.ファールスローは取らない

バスクに限らず、バルセロナでも他の国でも、ファールスローの反則を取っているのを見たことがありません。日本では育成において細く反則を取ってしまいますが、こちらはひどいファールスローでもほぼ笛が吹かれません。というか、誰も全く気にしていません。

日本の育成では、スローインになると、ほとんどのチームがボールを奪うチャンスと捉えボールサイドによりますが、ヨーロッパではスローインでボールを奪おうという認識は恐らくないと思います。なので、パッと投げてすぐに試合を続行しようとします。もちろんルールはルールなので仕方ないのですが、日本の育成ほど細かくとる必要は僕はないかなと思います。試合が止まってしまうので。

以前僕が高校生の指導者をしていた時に、大事な場面ですぐにプレーを始めようとしてスローインを投げた際、足が少し出ていたという理由でファールスローを取られ、チャンスを逃した場面がありましたが、「えーー!?それとる!?」と思ったのを思い出しました笑

これも日本と欧米の大きな違いの一つかもしれません。

 

|10.シュートとクロスの質

僕がこれまで見てきた欧米の育成のトレーニングや試合は、決まってクロスとシュートの質は高いです。他の部分が日本とそんなに変わらない場合でも、クロスとシュートの質だけは非常に高いように思います。これはレディースの試合でも同じことが言えました。シュートやクロスの意識はイングランドが一番高かったですが、単純に日本よりも「シュート」や「クロス」に対しての価値が高いのかもしれません。育成の段階からこれだけ差が出ていると、プロの世界で差が出るのは当然のことだと思いました。

 

|11.とにかく熱い

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どの試合も、とにかく熱くなります。勝つためならなんでもするといったような雰囲気は、試合を熱くし、最高のゲームを作り上げると改めて感じました。

僕がバスクで見た試合の中に、街クラブの頂上決戦のようなリーグ戦の一戦があったのですが(上の写真)これがとにかく最高のゲームでした。お互い気持ちのこもったゲームをすることはもちろんですが、意地と意地のぶつかり合いでした。それに加えバスク人の熱い応援がますますそれに拍車をかけます。

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|12.同点になった瞬間脚を痛める

上記した試合ですが、最終的に2−2のドロー。ラスト3分で同点に追いつくころには、隣のグランドで試合を見ていたギャラリーもこちらに移動してくるなど、かなりの盛り上がり。同点に追いついた瞬間、追いついたチームの3人が一気に脚を抑え倒れこみます笑 それに対して文句を言いまくる相手チームとのカード合戦は見ものでした笑 イエローカードならくれてやるとばかりに時間を稼ぐ。もちろんそれが良い行動かどうかはわかりませんが、勝つために必要なことな知恵なのかもしれません。

育成の段階でこのような行動をすることで、欧米人の何をしてでも勝ちに行くという思考が完成するのではないでしょうか…

 

前編・後編にかけてバスク地方の育成を見て感じたこと、学んだこと、及び日本との比較を書いていきましたが、ご覧のように日本との違いが多くありました。

ほとんどのことが、日本がバスクから学ばなければならないことで、非常に勉強になりました。

 

|最後に

今回、バスク地方では、たくさんのサッカーに触れることができ、多くの学びを与えてくれました。それもこれも何から何までお世話をしていただいた岡崎さんのおかげです。本当に、ありがとうございました。

 

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※画像はブログより

岡崎篤さんは、スペイン・バスク地方で指導者として活躍される唯一の日本人で、6年間この地で指導者を続けられ、スペイン最上級の指導者ライセンスもお持ちです。同時にリーガ・エスパニョーラ、エイバルFCに所属する乾選手の通訳、そしてスペイン法人「futbola」の代表も務められています。

「futbola(フッボラ)」は、日本とバスクの架け橋になることを目的に立ち上げられ、現在日本での講習会や、バスク地方での指導者研修などの活動をしておられます。僕も「futbola」主催の講習会にて岡崎さんと出会いました。バスクで長年活躍されるミケル・エチャリさんを招いて行われた講習会は、非常に素晴らしいものでした。この方は日本でも著書を出しています。

日本サッカースカウティング127選手

日本サッカースカウティング127選手

 

 

今年の夏にも、日本にて講習会が行われるそうなので、ぜひご興味のある方は参加してみてください!詳細が出るのはもう少し後になるそうなので、僕に言っていただければ詳細が出次第ご連絡させていただきます。

ホームページ:http://futbola.es/

 

次回はアスレティック・ビルバオのユースチームの試合、レディースの試合のコラムを書きますので、お楽しみに!

 

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「スペイン・バスクの育成を観て学んだこと、日本サッカーとの比較(前編)」Bilbao, Spain

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日、スペイン・バスク地方にあるビルバオという街を訪れ、育成年代の試合を多く観てきました。前回の記事で、バスク地方について少し書きましたが、この地域は非常に「育成」という分野で成功を収めています。

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今回は、そのバスク地方で「育成」の現場を観て感じたこと、学んだこと、日本サッカーとの違いを、こちらで指導者をする岡崎篤さんから伺った話も含めて書いていきたいと思います。

 

|比較をするということ

まず前提として、全く同じ条件で、日本サッカーの育成とバスクの育成を比較することは不可能であるということは、理解しておかなければなりません。文化や人種、環境が全く異なるので、例えばスペインで良しとされている指導が、日本では悪い指導であるということも当然あると思います。

なので、どちらが良い悪いは置いておいて、とにかく僕がバスクの育成を観て学んだこと、そして僕の考えを書いていきますので、そういう前提のもと読んでいただけると幸いです。

 

|1.グラウンドへのアクセス

まず、ヨーロッパのスタジアムやグラウンドを幾つか見てきて感じることは、とにかく「アクセスが良い」ということです。ヨーロッパのスタジアムのすぐ近くには必ず駅があります。

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今回育成の試合を見たビルバオのBilbao Kirolakは、駅のエスカレーターを出るとすぐ目の前にグランドがあり、誰でも気軽に試合観戦をすることが出来ます。これは日本にはなかなかない環境だと思います。日本のスタジアムや育成で使われるグランドは、駅からかなり遠かったりするので、日本のサッカーが普及しない一つの原因になっていると、僕は考えます。

こういう部分が、サッカーが文化であるヨーロッパの国々と、そうではない日本との違いの一つなのではないでしょうか。

 

|2.アプリ

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これは今すぐにでも日本で実行するべきだと思ったことですが、ビルバオには育成の試合の日程が一覧で見ることができる素晴らしいアプリがあります。いつ、どこで試合が行われているのか、一目で把握することが出来ます。自分が追いかけたい選手を登録することも出来るそうです。

このようなアプリがあるだけで、サッカーの日程を熱心に調べ上げているコアなファン以外も、週末の育成年代の試合を見ることができます。もちろん、試合を見る機会が増えるということは、指導者のためにも、選手のためにもなるわけですから、このアプリはとても大きな役割を果たしていると思います。

日本サッカー協会も、このようなアプリを直ちに作成するべきです。現状の日本では、どこで何の試合が行なわれているかわからない上に、育成の試合会場はアクセスが悪いことが多いので、決して試合を観戦できる状況ではありません。

 

|3.情熱的な指導

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「やはり」という感じでしたが、たとえ育成年代の指導においても、かなり情熱的に指導をします。ヨーロッパは日本とは違い「年齢」により態度を変えるような文化がないことも影響していると思いますが、たとえ子供相手であっても、大人と同じように情熱的に指導をしていました。ミスに対してはものすごくリアクションをとるし、常に立って身振り手振りで指導をしていました。ただ、これが比較をできない良い例です。

日本人の子供と、スペイン人の子供では、指導に対しての捉え方が全く異なります。選手と指導者が言い合っているような場面をここでは多く見ましたが、日本ではほとんど起きないことだと思います。

日本では、育成年代において「教えすぎてはいけない」ということが、よく言われています。確かにこれは間違いないことだと僕は思いますが、それを勘違いして捉えている指導者も多いのでないかと思います。試合中に何も指示を送らない、トレーニングにおいても具体的な指導をしない。それでは選手は何も成長をしません。「教えすぎてはいけない」という言葉は、知識を得る努力をしていない指導者の「逃げ道」になりえてしまうのです。

また日本では「体罰」や「ブラック部活」という言葉が一人歩きをしていて、「厳しく」指導をすることが難しい状況です。これはサッカーにおいては致命的だと思います。それこそスペイン人のように「情熱的に怒る」ということ、「厳しく」育てるということは絶対に必要です。スポーツは「教育」であり、ただの「運動」ではないのです。スポーツを通じて「人として成長すること」は、競技能力向上よりも大切なことだと、僕は思っています。

結局「厳しく」して、生徒や選手に訴えられるような指導者は、それ以外のところに問題があり、信頼を得ることができていないのです。信頼関係を築いていれば、そのような問題は起こりません。

もちろん手をあげたり、暴言を吐くような「体罰」には断固反対です。何一つ意味がありません。

 

|4.プレッシャーの中でプレーをする

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スペイン人の子供達は、プレッシャーの中でプレーをします。これについても、利点と欠点があると思いますが、まずはそれを度外視して考えます。

彼らは指導者から与えられるプレッシャーに加え、観客からのプレッシャーを感じながら常にプレーをしていると思います。

観客もまた、大人の試合と同じようにリアクションを取ります。情熱的で熱狂的です。日本ではあまり見られない光景だと思いますが、例えば小さな子供の試合でも、チャンスが訪れるとものすごく観客が湧きます。あの状況でシュートを外すということは、かなり心に負担がかかることだと思います。そのような状況で長いことサッカーを続けるわけですから、シュートを打つ際のプレッシャーに耐えられるような能力が自然と身につきます。それが大舞台でシュートを外す日本人と、大舞台でループシュートをして決めてしまうような欧米人とを分ける、原因の一つではないでしょうか?

いろいろな意見があると思いますが、僕はこの「プレッシャー」は非常に大切な要素だと考えます。日本から世界的な選手を輩出しようと考えるのであれば、過剰な保護よりも、むしろこのようなプレッシャー下でプレーをさせることの方が大切です。もちろん、それによるネガティブなポイントも理解していなければなりませんが…

 

|5.子供でもゴールパフォーマンスをする

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なぜ、パフォーマンスをするのか?僕はこのプレッシャーが大きな要因だと感じました。「嬉しさ」レベルが日本とは比べものにならないからです。プレッシャーのなかでプレーをし、そのプレッシャーに打ち勝った瞬間は、誰でも嬉しさを爆発させたくなるものです。だからこその、あのパフォーマンスだと思います。そして、シュートを外した際には、ものすごく落ち込みます。日本人の子供はあまりプレー中に感情を爆発させるようなことはないと思います。それが大人になっても「感情を出すことができない」要因になっています。

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指導者の責任もありますが、環境もまたこれを左右しているのです。

ハリルホジッチ監督が日本代表に対して行った指示は、こういう子供の時からの育成を変えていかなければ、改善することはありません。

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|6.日本とヨーロッパでは課題が逆になる

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日本の課題は「選手をどうハングリーにするか」つまり「どうプレッシャーを与えるか」だと思います。日本人はプレッシャーに弱く、ハングリー精神に欠けます。ただ、スペイン人の指導者の人と少し話をさせてもらいましたが、これはスペインでは真逆の悩みなのです。つまり選手たちにあのような「プレッシャー」を与えることはあってはならないと感じているということです。このことを理解しなければ、ヨーロッパの指導理論をそのまま日本に導入してしまう恐れがあります。日本でこれ以上選手を「過剰に保護」するような育成を行っていけば、世界的な選手は一向に生まれないと断言できます。

「感情を出す」という行為と「感情を抑える」という行為についてはまさに気をつける必要があります。レイモンド・フェルハイエン氏の「サッカーのピリオダイゼーション理論」のセミナーを受講した際、「フットボール・ブレイニング」という項目がありました。ここではどうプレー中に「感情を抑えるようにコントロールをするか」という課題がクローズアップされていました。感情が爆発してしまうスペイン人なんかは、まさにこの課題に取り組んでいることと思います。

ただ、これは欧米人のように少し狂気的な部分があり、試合中に感情を出してしまい、それがマイナイスに働くことが多いからこその、欧米人の課題です。

僕がこれまで訴えてきたように、日本ではその課題は真逆なのです。どう「感情を出すか」という観点から育成をしていかなければなりません。

日本人とヨーロッパでは、課題が逆になることが多いのです。

だからこそ、日本人自身が日本人の文化を理解し、ヨーロッパの理論をそのまま取り入れるのではなく、日本人には日本人の方法で育成計画を立てなければ、意味がないのです。

 

後編に続く…

 

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「山々に囲まれたトレーニング施設」Athletic club, Bilbao

の日は金曜日。どのカテゴリーもトレーニングを行わないという今日は、人影が少ない。それがまた、神秘的な雰囲気を作り出している。

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|山々に囲まれた

なんとも神秘的なこの場所は、スペイン・バスク地方にあるアスレティック・ビルバオのトレーニング施設だ。このチームは、いわゆる外国人をチーム内に取り入れないという特殊なチームで、スペインの中でもバスク人だけで構成されている。それでいてリーガ・エスパニョーラに所属しているわけだから、とんでもない「育成の成果」を上げているというわけだ。外から選手を取らないということは、育てる以外に強さを保つ方法はない。

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この敷地内には、大小合わせて数えるのが億劫なほどのグランドが存在している。育成からトップチーム、レディースすべてのカテゴリーがこの場所で日々トレーニングを行い、試合を行っている。ちなみにサッカーの総合施設を作ったのは、ACミランに続き2番目らしい。

 

|レディース

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この日はたまたま翌日ここでレディースの試合が行われることもあり、トレーニングが行われていた。終始自由な、ゆるいトレーニングがスペイン人らしい。シュート練習から始まり、最後はセットプレーの確認をしてトレーニングを終える。選手は20人前後、スタッフは少なくとも6人はいるだろうか。女性が1人で、その他は男性だ。

スペインのレディースサッカーは、バルセロナアトレティコ、そしてアスレティックの3強みたいだ。確かに、すごくうまい。

とにかく皆、楽しそうにサッカーをしていた。こんなに自然豊かな、素晴らしい環境の中でプレーができる彼女たちを、羨ましく思う。

 

|明らかにアジア人の僕が

明らかにアジア人の僕が、ローカルな試合やトレーニングを凝視していると、それはそれは物珍しそうに、終始ジロジロ見られることになる。他にトレーニングを見ている人がいない。最初はすごく嫌だったけど、もう慣れてしまった。

サッカーの現場に日本人が居て何が悪い?と、そう言ってやりたいけど、今の所そうは言えない。ヨーロッパと日本では、サッカーにかける情熱の違いが大きすぎる。

いつか日本人がヨーロッパでも当たり前のように指導をして、サッカーに関わる日が来た時は、どやどやして試合やトレーニングを見てやろうと思う。

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僕は、その日が来ると信じている。無理矢理。

 

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「フットボールも、お洒落に。」Paris, France

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にかとお洒落なパリ。フットボールもまた、お洒落だった。
 

チャンピオンズリーグを、お洒落に。

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現地時間午後8時30分。その日はちょうど、チャンピオンズリーグセカンドレグ、マンチェスター・C戦が行なわれていた。世間では「金満クラブ対決」なんていう言われ方をしているけど、そんなことは恐らく誰も気にしていない。

少々気性の荒いイギリス人サポーターとは違い、脚を組んで座りながら、たまに声を荒げる程度のお洒落さだ。デブルイネの野郎に豪快なミドルシュートを決められた時、イケメンの青年は泣きそうになりながら家路に向かい、となりのおっさんは黙り込んだ。イギリス人だったら、ここからさらに罵声が飛び交うが、皆かわいそうな顔をして黙り込んでしまった。
さすがはパリ。この少ない人数の中に可愛い女の子が4人もいて、試合に釘付けの僕に一人の女の子がトイレの場所を問うた。それでは聴いてください「もしかしてだけど」。
フランス人は、試合観戦もお洒落にこなしていた。
 
 

|ストリートサッカーを、お洒落に。

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そこら中で少年たちがサッカーをやっている。ガチなやつも、遊びなやつも。ただみんな共通して、服装がお洒落だ。運動用のウェアを着てプレーをしている少年は、1人もいなかった。ジーパンやら、パーカーやら、時には襟付きのシャツを着てるやつもいる。そもそも、ここで愛されているPSGのユニフォームがお洒落なんだから、それをジーパンと合わせるだけで様になる。なんとも、憎いやつらだ。パリ。
 

 

|スタジアムを、お洒落に。

パリを本拠地に置くPSGのホームスタジアム、パルク・デ・プランスもまた、お洒落だ。

正面入り口には選手の写真がお洒落に彩られ、レッドカーペットが敷かれている。となりに併設しているなんかよくわからない建物と共に、存在感抜群だ。

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そりゃあ、イブラヒモビッチだって、ベッカムだって、入りたくなる。

 

|グッズショップを、お洒落に。

なんかだかよくわからない建物には、PSGグッズショップが併設されていた。

それはまるで、アパレル店だった。

入り口を入るとまず、真っ黒の背広を着たガードマンがいる。お洒落だ。「ボンジュール」と言われたら「ボンジュール」と言い返せばいいだけだから安心して欲しい。

Tシャツとか、ジーパンとか、革の鞄とか、やっぱりここはアパレルショップ。PSGのユニフォームは、ひたすらかっこいい。ナイキとの相性は抜群にお洒落だ。全部欲しい。

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ジダンのような

いつかまた、ジダンのような選手がフランスから生まれるだろうか。華麗に、お洒落に相手をかわすジダンのような選手が。

もしまた現れたら、その時はフランス全土で協力をして、頭突きだけはやめておけと教育をしておいて欲しい。パリはお洒落なんだから。

 

 

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